しがないSEの部屋

気ままに適当に

先の大戦から見る情報の重要性

今日は、情報の重要性について考えていきたいと思います。

参考にした文献は以下です。

 『大本営参謀の情報戦記-情報なき国家の悲劇』

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

 

情報教育について

 戦時の日本ではどのような情報教育が行われていたのでしょうか。

当時の陸軍学校には情報にまつわる講義はなかったそうです。

情報よりも作戦や戦術・戦略に関しての講義が多かったそうです。

戦術や戦略は情報がなければ策定することができないと思うのですが、、、

 現在の学校教育でも情報に関しての授業は少ないと思います。

インターネットが発展した今では戦時中よりも情報が簡単に入手することができます。

そのため、情報の扱い方を小さい頃から教えていくことが必要になるのではないでしょうか。

情報戦略について

 情報戦というのは、長い年月をかけて行うもので一朝一夕で仕掛けることは無理な戦略です。

当時の日本の米国に対する情報戦略は、どうだったのでしょうか。

日本が米国の情報を収集し始めたのは、米国が優勢になりつつある時です。

そのため、日本は情報戦が後手後手になってしまい、辛酸を舐めることになってしまいます。

日本は、米国の情報よりも支那ソ連の情報収集部隊を重視し、米国は軽視していました。

その結果が、後になって残酷な結果を招いてしまったのではないでしょうか。

 

日米間の戦い方に差はあったのか

 情報からは少し離れてしまうのですが、日米間に戦い方の差はあったのでしょうか。

この問いかけに対する答えはYesです。

まず、日本は米国と戦争する前は日清、日露戦争などで勝利を手中に収めてきました。

上記に述べた戦争で、日本はイケイケ押せ押せの戦い方で一歩も退かずに勝利を我が物にしました。

日本の指令部は、日露戦争での戦い方が米国にも通用すると考えていました。

そのため、日本では兵力に十分な休養を与えず戦っていたのです。

一方の米国は現代野球のようなローテーション制で代わり番こに休養を与えながら戦っていたのです。

 補給作戦でも差が生じました。

日本は戦地への補給作戦がスムーズに行えていませんでした。

一方、米国はこまめに戦地へ補給作戦を行っていました。

日本は戦地に行ったら行ったきりで、米国は最低何日分かの食糧などが補給されていました。

 日本と米国では島の占領戦略にも差がありました。

日本は陸軍主体で島自体の占領を目的とした戦略でした。

一方の米国は海軍を主体にして、島を占領し空域の確保を推進する戦略をとっていました。

敵より高いところを占領することは戦略の基本です。空を抑えてしまえば、宇宙を占領されない限り比較的自由に飛び回ることができます。

日本と米国で島に対する評価が異なっていたのです。

日本は島を情緒的に評価し、米国は島を数字的に分析し占領戦略を立てていきました。

 

日本の指令部

 日本の指令部は、前時代的な戦略をとり、米国は数字に基づいた科学的戦略をもって戦争をしていました。

また、日本のトップは情報の重要性を十分に認識していなかったのではないでしょうか。

日本指令部と戦地の前線部隊では情報の非対称さが目立っていました。

戦地の前線部隊は日本の中央から情報を与えられず、肉眼で見れる範囲の情報しか入手していなかったのです。

また、指令部も前線部隊の戦果を十分に確認せず、信じきっていたのでしょう。

軍部内部の統制が取れておらず、情報も不正確な見方しかできていませんでした。

 指令部の情緒的な戦略を前線部隊の戦術で好転させるのは到底できることではありませんでした。

戦略は何によって策定されるのでしょうか。自らの経験や勘に基づく部分もあると思いますが、情報なくして戦略を立てることは困難です。

日本の指令部は情報を軽視しており、戦略が情報を無視していました。

戦略の情報無視は大きな犠牲を生みます。

その犠牲は、前線部隊の人々だったのではないでしょうか。

 

米軍の日本敗戦の考察

 米軍は戦後、日本が敗戦した理由に下記の5つを挙げています。

 1.国力判断の誤り

 →日本が米国の情報を収集し始めたのは、戦況が劣勢に立たされてからです。

  戦前に至っては、支那ソ連などの情報収集を重視し、米国の情報は軽視。

  

 2. 制空権の喪失

    →日本は陸軍主体で島を占領したが、米国は海軍主体で島を占領。

 

 3. 組織の不統一

 →指令部と前線部隊で情報が非対称になっていました。

 

 4. 作戦第一

 →作戦を何よりも重視し、陸軍学校でも作戦の授業を重視していました。

  日本は作戦ありきの情報となってしまっていました。(本来は情報ありきの作戦だと思う)

 

 5. 精神主義の誇張

 →戦略も数字に基づくものではなく、精神主義的でした。

  米国は数字に基づいて戦略立脚をしていました。

 

まとめ

 日本は先の大戦では、情報の重要性を認識していませんでした。

さらに、戦略・戦術も情報に立脚したものではなく、前時代かつ精神主義の戦い方となってしまったのです。

組織も指令部と前線部隊で情報の行き来がほとんどなく、与えられた情報に対して十分な検証もされていませんでした。

結果として、先の大戦では多くの血が流れてしまいました。

我々は情報の扱い方について学ばなければいけないと思います。

戦時中の指令部は情報を一線的に見ていたのだと思います。情報は疑って見ることが重要です。二線、三線と様々な角度から情報を眺めることが大事なのではないでしょうか。

また、最近では身の回りに情報が氾濫していますが、情報を扱うには自身の経験や知識も必要となってきます。

情報に振り回されず、有効活用するためには幅広い視点を持つことだと私は思います。